京大生けい

宮部みゆき、湊かなえ、東野圭吾、恩田陸、上橋菜穂子作品がおもに好きです

ユートピア 湊かなえ 

ユートピアを求める人は、自分の不運を土地のせいにして、
ここではないどこかを探しているだけだ。永遠にさまよい続けていればいい。”

 

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あらすじ

舞台は海辺の田舎町。五年前にそこで起きた殺人事件と子供の友情、大人たちの思惑がだんだんと絡んでいくストーリー。
相手を勘繰る大人たちの心理描写がリアルで、湊かなさんの作風が十分表れている小説だと思います。

感想

この作品の中では、子供と大人の心理が対比されながら描写されています。
子供たちのますっぐで、時に残酷な面をみせるほどの素直さ
対して、常に他をうらやむ大人たちの欲深さ
そして最初に引用した、

ユートピアを求める人は、自分の不運を土地のせいにして、
ここではないどこかを探しているだけだ。永遠にさまよい続けていればいい。”

この言葉からも分かるように、一見、作者は大人たちが欲深くユートピアを求め続けることを子供との対比によって、批判し、つきはなしているかのように思えた。


しかし物語のラスト数ページ、作者がユートピアを求めることを認めてくれていることを気づいた。
「欲深いことはよくないことかもしれないけど、人間としてしょうがないものだよね。」こんなやさしさを感じた。

読んでいただきありがとうございます。

 

はじめまして

この記事を見てくれた人、本当にありがとうございます。

僕はこの春から京都大学一回生になるものです。

自分の好きな小説について何か書いてみたいと思い、このブログを開設しました。

これから読んだ本の感想や日常のことなど書いていきたいと思ってます。

好きな作家は宮部みゆき湊かなえ東野圭吾恩田陸上橋菜穂子...です。

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